鎌倉といえば…
みなさん、「鎌倉」といえば何をイメージされますか?!
鳩サブレー、しらす、⼤仏、紫陽花、江ノ電の有名な踏切……と⾊々思い浮かびますよね。
でも、歴⼥の筆者としては「鎌倉」といえば「歴史」!
2022年の⼤河ドラマ「鎌倉殿の13⼈」、最近アニメ化された「逃げ上⼿の若君」はご存じ
の⽅も多いのではないでしょうか?この⼆作品は鎌倉幕府の誕⽣と滅亡を描いた、まさに「鎌倉」が舞台の作品なんです!
歴史や⽂学の中には時折、囲碁が登場します。歴⼥の私、最近囲碁が気になってます!
そんな「歴史」+「囲碁」を楽しめるイベント「TERA-IGO」が北鎌倉の円覚寺で開催されると知り参加しました!
「お寺で囲碁が打てるなんて⾵情があってかっこよさそう!」、そんな思いで⾬降る円覚寺へGO!
かたちから⼊るタイプなので、鎌倉幕府3 代将軍の源実朝をモチーフにしたT シャツとトートバック(ページ最後に写真あり)に、スモーキーグリーンの鎌倉限定⾊のマニュキュアを塗って参戦です!
目次
円覚寺散策
円覚寺について
TERA-IGO
お茶室で座禅体験と⼥流帰源院杯
インタビュー「御朱印談義?」
連碁、⼤盤解説
TERA-IGOを終えて-囲碁への入り口-
円覚寺散策
TERA-IGOは北鎌倉の円覚寺帰源院で開催されます。
北鎌倉は梅⾬の季節でも⼤⾏列のできる、紫陽花で有名な名⽉院、鎌倉五⼭の第⼀位、そし
てけんちん汁発祥の地?!とされる建⻑寺などがあります。
円覚寺は北鎌倉駅から歩いてすぐ!
写真左:円覚寺へ、写真右:仏殿へ挨拶し、御朱印をいただきました
総⾨をくぐってTERA-IGOのイベントスタートです。
まずは円覚寺散策!ガイドの⼟⾕精作さん(現鎌倉ペンクラブ顧問)の案内で円覚寺をぐるりと⼀周。
さっそく帰源院の境内にて何やら⽂字の掘られた⽯を発⾒!
これは夏⽬漱⽯の句碑「仏性は⽩き桔梗にこそあらめ」です。
⼟⾕さんのお話によると、円覚寺は漱⽯と関係の深いお寺。漱⽯の作品「⾨」は⾃⾝が若き⽇に円覚寺の帰源院に赴き座禅を組んだその時の⼼境、いきさつなどが元になった作品です。
写真左:漱⽯の句碑「仏性は⽩き桔梗にこそあらめ」の意とは…?
実は、鎌倉は明治から昭和初期にかけて⽂豪たちに⼤⼈気の場所でした。夏⽬漱⽯や川端康
成、芥川⿓之介らは鎌倉を訪れたり、移り住んだりしています。ガイドの⼟⾕さんが顧問を
されている「鎌倉ペンクラブ」も鎌倉で活動した⽂学者たちが⽴ち上げたものです。
鉄道の発展と共に東京からほど近く、⼭に囲まれ海に⾯した鎌倉は避暑地や別荘地として
⼈気があったのです。執筆環境にぴったりだったのでしょうか…?
ちなみに鎌倉の⻑⾕を終の棲家とした川端康成は「名⼈」という囲碁の観戦記を元にした⼩
説も執筆しています。(「名⼈」の登場⼈物の⼀⼈⼤⽵七段のモデルは⽊⾕實先⽣とされて
います。⽊⾕道場のお話はこちら。)
また、川端康成の祖先は「鎌倉殿の13⼈」でも登場した北条泰時とか……。
お寺―⽂学―囲碁―歴史が散策の早い段階から繋がって、まさに「one-piece」!
円覚寺について
続いて、円覚寺仏殿。円覚寺は鎌倉時代の後期1281年に創建されました。⼆度にわたる「元寇」の翌年、と⾔えば時代のイメージがわくでしょうか?
開⼭は無学祖元、⽀援者は鎌倉幕府⼋代執権 北条時宗、こちらも過去に⼤河ドラマ作品がありましたね。
写真左:山門、写真右:仏殿
また、円覚寺は囲碁とも深い縁があります。昭和を代表する棋⼠、呉清源先⽣と⽊⾕實先⽣の対局「鎌倉⼗番碁」の開催地の寺院の⼀つが円覚寺です。
私が先⽇参加した、⽊⾕實先⽣の⽊⾕道場が由来の「湘南ひらつか囲碁まつり」と囲碁とお寺で繋がりました!(「湘南ひらつか囲碁まつり」の記事ほこちら)
囲碁は元々お寺とも関わりが深く、本能寺の変の前夜に織⽥信⻑が主催した名⼈対局で出た不吉の前兆「三コウ」エピソードや、囲碁のタイトル「本因坊」も碁の名⼿、本因坊算砂が寺の住職であったことに由来します。
「鎌倉殿の13⼈」「どうする家康」「光る君へ」など⼤河ドラマでも囲碁を打つシーンはけっこうあるんです。盤⾯は⽇本棋院のプロ棋⼠が協⼒し、俳優さんへの所作指導とともに棋譜を作成します。時代背景や演じる役者の⼼境にあわせた局⾯がつくられていることも多いそうです。あらゆる時代に登場する囲碁、侮れない……!
写真左:鎌倉⽯の岩肌とぽっかり空いた⽳は「やぐら」(僧侶が修⾏した洞)。鎌倉ではよく⾒かけます
写真右:⼟屋さんが顧問をされている鎌倉ペンクラブは川端康成らが⽴ち上げた会です
そして、今⽇は年に数回しか⼀般公開されない国宝指定の「舎利殿」が特別公開されていたスペシャルデーでした!なんとこの舎利殿、鎌倉幕府3代将軍源実朝が宋から請来した「佛⽛舎利 (ぶつげしゃり)」(お釈迦様の⻭)を祀る場所として造ったものです!鎌倉殿関連がここにも!実朝公のTシャツとトートバックスタイルで来てよかった〜!
写真左:舎利殿 写真 屋根の四隅の反り返りが特徴、禅宗様式の窓
写真右:秋⾬の円覚寺散策
TERA-IGO
歴史的発⾒がいっぱいのお寺散策から、帰源院の本堂に戻ると座敷に碁盤が並べられていました。
畳の上での「囲碁」は本場感があり、わくわくします!早くも対局されている参加者の姿も。⼀般対局のほか、プロ棋⼠による指導碁もあります。
写真左:TERA-IGO会場の帰源院、写真右:指導碁の様⼦
囲碁ってリタイアされた⽅やご年配の⽅の趣味、というイメージでしたが、TERA-IGO の
参加者は同世代の若い⼥性も多く、お⼦様の姿もちらほら。初⼼者ですが、気後れせずに参
加できそう!
TERA-IGO は「お寺で囲碁を楽しめたら⾯⽩そう」とう発想から始まったイベントで、囲
碁の対局はもちろんお寺散策やお寺ならではのイベントも同時開催されています。今年で7
回⽬で、昨年からは鎌倉市からの後援も受けている⽂化体験型イベントです。
参加者の皆様の知的好奇⼼を満たす豊かな⽂化的体験を提供されています。
写真:⼥性陣の中にはお着物の⽅も!、写真左:⼀般対局、写真右:軒下でランチタイム
お茶室で座禅体験と⼥流帰源院杯
お寺といえば「坐禅」。TERA-IGOでもお茶室で坐禅体験が開催されていました。
坐禅は禅宗における基本の修⾏の⼀つです。円覚寺は禅宗寺院であり宗派は臨済宗なので、
壁を背にして坐禅を⾏います。指導するお坊さんと向き合う形です。
ここでは「結跏趺坐(けっかふざ)」という⾜の組み⽅や⼿の位置、呼吸のやり⽅を教えていただき、⼼⾝を整える体験を⾏います。レアな場所×レアな体験です…!
写真左:警策(けいさく)を持った僧侶の⽅
また、坐禅体験が⾏われている隣の部屋では「⼥流帰源院杯」が開催されています。
茶室という静寂な空間で、ぱちりと⽯を打つ⾳だけが響きます。真剣勝負に場所も相まって
緊張感が伝わります。
写真:お茶室での一局
本堂でのクイズ⼤会
静寂で⾝の引き締まる茶室から本堂に戻ると全員参加の賑やかな「クイズ⼤会」が開催され
ていました!
囲碁にまつわる雑学、歴史、対局の問題などをチーム戦で戦います。
「⽩⽯の素材は?」など囲碁初⼼者の私でもぎりぎりわかる問題や、「家康が囲碁を始めた
年齢は?」など歴史にまつわる問題もあれば、「知っている囲碁⽤語を制限時間内にできる
だけ多く書く」という囲碁プレイヤーの知識とスピード感が求められる問題、TERA-IGO
に参加されている常⽯ 隆志五段の「好きな⾷べ物は?」など囲碁とは直接関係ないプライ
ベートなクイズなども。囲碁の棋⼒(強さ)関係なくチームで⼒を合わせて取り組むクイズ⼤
会は⼤盛り上がりでした!
写真左:Q:家康が囲碁を始めた年齢は?A:45歳
写真右:優勝賞品はMAISON CACAOや紅屋のお菓⼦。鎌倉を代表するお菓⼦です
インタビュー「御朱印談義?」
TERA-IGOに参加されているMさんにお話を伺いました!
Mさんは常⽯ 隆志五段と先輩後輩の関係で、常⽯五段がTERA-IGO に携わると聞き、参加を決めたそうです。
写真左:久しぶりの先輩後輩
和服がお好きでお寺で囲碁もできるし、趣味の⼀つに御朱印集めがあるので「お寺」+「囲
碁」はうってつけのイベント、とのこと。
地⽅の囲碁⼤会に参加した時にはその⼟地の寺社仏閣の御朱印を集めをしたとか。
実はお寺散策の時に御朱印をお願いしている⼥性がいる!とこっそり⾒ていた私。私も御
朱印を集めているので、囲碁の対局のお願いは緊張してしまうけど、御朱印のお話ならでき
るかも……?と思いインタビューさせていただきました。
お互いの御朱印帳を⾒せ合って「吉備津神社の御朱印ですか?」と御朱印とその⼟地にまつ
わるトークが炸裂!
私は囲碁に関してはまだまだ初⼼者ですが、御朱印集めという共通の趣味のお話ができて、
たいへんうれしかったです。囲碁を続けているとこういう出会いもあるのかも。
Mさんありがとうございました!
写真:それはどこの御朱印ですか?と御朱印トークに花が咲きます
連碁、⼤盤解説
囲碁のイベントも⼤詰めで10対10の連碁、「⼥流帰源院杯決勝の⼤盤解説」も本堂で実施されていました!
写真左:連碁はチーム戦です、写真右:常⽯隆志五段と囲碁クリエイターまるちゃんの解説
囲碁は個⼈戦ですが、⼀⼿⼀⼿交代で打っていく「連碁」はチーム戦です。⼤盤の前でみん
なに⾒守られながら⼀⼿打つのは個⼈戦とは違った緊張感があります。でも、チームで挑む
戦いは勝っても負けても、仲間たちとわいわいできるので楽しそう。
また、⼥流帰源院杯決勝戦の⼤盤のボードを⾒て、あーだこーだとみんなで語り、解説を聞
く「⼤盤解説」も盛り上がっていました。
囲碁は静かにやる競技というイメージですが、対局外では仲間同⼠で戦略について語りあ
うのはもちろん、囲碁やその周辺⽂化や趣味について語り合ったり、お弁当を⾷べながら笑
顔でお話されているみなさんの姿が印象的でした。
写真左:囲碁クリエイターまるちゃんの初⼼者指導、写真中央:⼦どもたちとも対局
写真右:私も⼀局
TERA-IGOを終えて-囲碁への入り口-
そんなお寺で囲碁が楽しめるTERA-IGOも終幕。
鎌倉は⼭と海に囲まれ、多くの歴史的遺産のある魅⼒的な街です。そんな古都鎌倉のお寺で
「囲碁」というお寺と縁深い歴史ある競技に触れられた体験は、とても新鮮で少し背筋の伸
びた気分になりました。この場でしか得られない特別、平たく⾔えば「かっこいい」体験が
できました。是⾮来年も訪れたいと思います!
囲碁は古からある競技なので、それだけ歴史との関わり、⽂化や⽂学との関わりも深い競技
です。囲碁への⼊り⼝は競技として始めてみるだけではなく、歴史や⽂化などいろいろな⼊
り⼝があります。歴史―史跡―⽂化―⽂学―囲碁―――。皆さんもご⾃⾝の興味関⼼のどこ
かで「囲碁」に出会うことがあるかも!?
写真:TERA-IGOの思い出
TERA-IGO のX アカウントはこちら:https://x.com/tera_igo
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