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大学の正式科目!単位の取れる「囲碁」の授業
ロジカルシンキングを養うために

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大学生にとっても効果的な「囲碁」の魅力!ご存じでしたでしょうか?
今は「囲碁」を学ぶことで大学の単位が取れることを。

囲碁を全く知らない大学生が、入門から囲碁を覚えていく過程で「ロジカルシンキング(論理的思考)」を養うことを目的とした授業が、実は今日本全国の各大学で開催されています。

日本の伝統文化である「囲碁」に触れることで、能力を向上させようという面白いアプローチです。

昔ながらの「遊び」や「文化」の中にあった「学び」の再発見!

日常生活においても、ビジネスにおいても、必要な能力である「ロジカルシンキング(論理的思考)」。
言語化のトレーニングや、思考の癖の模索、質問の仕方を自他に問いかけることなどが論理的思考を養うための方法と言われていますが、身につけたい必須の能力にもかかわらず、実際にどうアプローチすれば良いかの答えはハッキリしていません。

そして、前述しましたが、青山学院大学だけではなく、大学の正式科目として「囲碁」を扱うという動きは、日本全国に広がっています。
2005年に東京大学が、初の囲碁の授業を開始してから、今現在では37校もの大学が囲碁の授業を開講しているのです。

大学の囲碁授業を取材

今回取材をさせて頂いたのは青山学院大学さん。
青山学院大学が囲碁の授業を取り入れたのは11年前。
今年度は、前期は青山キャンパスで、後期は相模原キャンパスで囲碁の授業が行われています。

10年間非常勤講師を勤めた桑原陽子六段に代わり、本年度から田尻悠人五段が講義を担当。
田尻五段は、大河ドラマに出てくる囲碁シーンの監修を行うなど、普及にも精力的に活動している棋士の先生です。

授業の準備をしている田尻五段。いつも1時間前から講義に備えているそうです。

「囲碁」の授業は人気で、定員50名の講座に、90名近い応募があったそうで囲碁の潜在的な人気が伺えます。
講義を受けている学生は、まったくの初めての学生さんばかりです。
囲碁は難しいというイメージがありますが、大学生の理解は早く、どういうゲームかを認識し「碁の形」になっている学生が多いとおっしゃっていました。
授業前、パソコンに囲碁のAIを取り入れて、それについて質問している学生さんの姿もあり、大学生の自分で問題に取り組む姿勢が見て取れました。
実際の授業は90分。講義が半分、対局が半分で進めています。
大学生の囲碁の授業態度についてお聞きすると、大学生はしっかりと考える人が多いという事です。ただ、その分対局の進みが遅くなってしまう点も。
「たくさん打って、沢山負けることに慣れることも大事」と田尻五段はおっしゃっていました。

講義風景は、こちら。

TA(ティーチングアシスタント)として、青山学院大学の囲碁部の学生さんが手伝ってくれています。
文系と理系の割合は、ほぼ半々。
男女比は、7:3といったところでしょうか(ただし、前期は逆で男女比は3:7くらいだったそうです)。
出席率も高く、皆さん先生の話に真剣に耳を傾けていました。

プロジェクタを使って、前回の問題の答え合わせをし、この日から19路盤の講義に入ります。

いよいよ初の19路盤!

19路盤と言っても、何のことか分からない人もいるでしょう。
19路盤は、プロの対局でも使用される19本の線が入った大きな碁盤のこと。
入門は、6路盤や9路盤、13路盤と言った小さな碁盤が使用されます。
大学生の皆さんは、この日初めてプロと同じ、19路盤にデビューしたのです!

先生の講義を聴きながら、隣同士棋譜を並べていきます。

講義の後半は対局。
今回は、その並べた棋譜の途中から対局を始める「決め打ち碁」です。

今回が、9回目の講義ということですが、19路盤で立派に終局まで対局をしていました。

対局の合間に、何故この授業を履修したのかを質問してみました。

「空きコマで何か面白い授業がないかと探して、囲碁って面白そうだなと思って」

「囲碁は、もともとやってみたいなと思っていたけど触れる機会がなかったので、こういう授業があると嬉しいです」

「思っている以上に頭を使いますね。充実感もあるんですけど、授業が終わった後に結構疲れてますね(笑)」

などのコメントが。

ロジカルシンキング(論理的思考)が身に付きましたか?という問いには、

「実際に、身になっているかは自信がないけど、全く未知の囲碁に触れて、段々と覚えていく過程で、(論理的指向とは)こういうことかなっていう感じはしています」

「まだまだ全然分からないですけど、こういうわからないモノに触れて、覚えていくのは自分が成長している実感があって面白いです」

との学生さんからの答えがありました。

対局の合間に、先生がそれぞれの対局にアドバイスをしています。

田尻悠人五段からのメッセージ

授業の最後に、田尻五段にお話をお聞きしました。

「囲碁はルールはシンプルなだけに難しい部分もあります。技術的な事を教えるよりも、囲碁が打てる、出来るようになるという事を心がけて指導しています。囲碁は覚えれば一生楽しめる。コミュニケーションツールとしてもすぐれていて、友達に教えたりして、人とのつながりに役立てて欲しいと思います」

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