みなさん、あけましておめでとうございます!
昨年に引き続き、今年も1月5日の「囲碁の日」に開催された打ち初め式に潜入してきました。昨年100周年を迎えた日本棋院、2025年からは101年目のスタートです。
囲碁棋士はもちろん、スポンサー企業、囲碁関係者、多くの囲碁ファンが駆けつけ、新年のスタートをみんなでお祝いしました! 本日は、そんな囲碁業界のスタートとも言える打ち初め式の模様をみなさんにお届けしたいと思います。
目次
- 新年のご挨拶!
21年ぶりの週刊連載囲碁マンガ「伍と碁」発表!
タイトルホルダー棋士と話せる!?懇親会レポ-ト!
2024年話題を呼んだ!若手棋士突撃インタビュー!
碁は自分の好きなスタイルで!
2025年!101年目の囲碁業界の行方はいかに?
新年のご挨拶!
打ち初め式は、武宮陽光理事長より新年のご挨拶からはじまりました。挨拶では、昨年日本を歓喜の渦に巻き込んだ一力遼棋聖の応氏杯優勝の快挙、上野愛咲美女流立葵杯の呉清源杯世界女子囲碁選手権優勝、ノーベル化学賞を受賞したデミス・ハサビス氏(Google Deep Mind社CEO)の日本棋院来訪、といった3大ニュースについて語られました。嬉しいニュースがたくさんで、囲碁業界に新しい風が吹いたともいえる1年でした。
写真左:日本棋院 武宮陽光理事長、写真右:映画「碁盤斬り」の脚本家、加藤正人様
続いて、昨年草彅剛さん主演で話題を呼んだ映画「碁盤斬り」の脚本家、加藤正人様の登壇です!映画「碁盤斬り」では、囲碁を知っている人はもちろん、囲碁を知らない人たちからも注目を集めた作品でした。ご自身も囲碁愛好家ということで、今年も棋士たちのさらなる活躍を祈っていると熱いメッセージを送られました。
そしていよいよ、2024年に大活躍したタイトルホルダー棋士たちの登場です!
ひとりひとり、今年の抱負が語られ「成長した姿を届けたい!」「タイトル戦にくい込みたい!」「蛇のように過去の記憶は脱ぎ捨てて、新たに頑張りたい」など、力強いお言葉と笑顔がとても印象的でした。
左:芝野虎丸テイケイ杯 中央:藤沢里菜女流本因坊 右:上野愛咲美 呉清源杯
21年ぶりの週刊連載囲碁マンガ「伍と碁」発表!
ここで、囲碁業界仰天のビックニュースが舞い込みました。
なんと、1月27日の週刊ヤングマガジンより、囲碁業界にとっては21年ぶりとなる、週刊連載囲碁マンガ「伍と碁(ごとご)」が発表されました!
写真:伍と碁©︎蓮尾トウト・仲里はるな/講談社
打ち初め式には、ヤングマガジン編集者の森様が登壇し、物語の内容についてご紹介!才能と挫折に打ちひしがれながらも囲碁に向き合い、自分の道を突き進んでいく、少年の棋道を描いた囲碁マンガ!だそうです。
これはたくさんの人に囲碁を知ってもらえるチャンスにもなりそうですね!今後の「伍と碁」にも、目が離せません!
打ち初め式恒例!大激闘の記念対局!
続いて、打ち初め式恒例の、記念対局が始まりました!
今年は、女性チームと男性チーム、まさに紅白歌合戦のようなチームで戦いました。 スタートの火蓋を切ったのは、福岡航太朗竜星。記念対局らしく碁盤のど真ん中「初手天元」にパチリ!天元から始まる対局は滅多にないため会場からも「おおっ!」と歓声があがりました。その初手に乗るかのように、白番の藤沢里菜女流本因坊からも、奇抜な1手が炸裂!これには、世界一を取った一力応氏杯も「僕も20年以上囲碁を打っていますが、これは…初めて見たカタチですね」と一言、笑みがこぼれます。
左:珍しい一力遼応氏杯の大盤解説の様子、右:解説をする上野梨紗女流棋聖
対局者を交代しながら打ち進める中、上野愛咲美呉清源杯(姉)と上野梨紗女流棋聖(妹)
のやり取りで会場は大盛り上がり!一力応氏杯からは「まるで姉妹漫才を聞いているようです。笑」とお正月の対局らしく笑顔があふれた記念対局を見ることができました。
タイトルホルダー棋士と話せる!?懇親会レポ-ト!
さて、いよいよお待ちかねの懇親会がはじまりました!プロ棋士も各テーブルを巡りながら、お酌をしたり、お話ししたり、ファンとの交流を楽しむ様子が見られます。
写真左:水間俊文八段のファンへのお酌、中央:囲碁棋士夫婦の和気藹々とした姿、右:一力応氏杯を囲むファンの皆様
なかには、色紙を持参しサインをもらっている方もちらほら。滅多に会うことができないタイトルホルダー棋士のサインをゲットできるのは、懇親会ならではの楽しみですね。
2024年話題を呼んだ!若手棋士突撃インタビュー!
さて、ここからは突撃インタビューのコーナーです。
今回の打ち初め式には、2024年に囲碁業界を沸かせた若手棋士が多く参加しており、これはインタビューするしかない!と意を決して突撃インタビューを決行しました!
1人目は、2024年幸せニュースランキング1位といっても過言ではないこの方「横塚力若鯉杯」です。横塚若鯉杯と言えば「広島アルミ杯・若鯉戦優勝&藤沢里菜女流本因坊との結婚発表」で囲碁業界にたくさんの幸せをもたらしました。
まずは、広島アルミ杯・若鯉戦について「藤沢女流本因坊と2回戦で当たっておりましたが、どのような心境で対局されていたのですか!?」という超ドストレートな質問を投げかけてみました。
横塚若鯉杯からは「正直、打ちづらかったですが、思ったよりは平常心で打てたかなと思います。相手の方が、打ちづらかったと思うので、その差で僕が勝たせてもらったのかな。」と笑顔で話してくださいました。
普段のお二人の関係性も気になる…ということで「普段、お二人で練習対局などするのでしょうか?」とお伺いしたところ「全くしません!普段から打っていい存在ではないと思っています。」ときっぱり答えてくださいました。相手への尊敬や配慮があるが故に、夫婦であっても気軽に対局することはないんですね~。貴重なお話しを聞くことができました!
これからも横塚力若鯉杯・藤沢里菜女流本因坊、お二人の末永い幸せとご活躍を祈っています!
2人目は、2024年の新人王戦にて優勝を飾り、初のタイトルホルダーとなった「三浦太郎新人王」です。
新人王戦は、予選時点で25歳以下、六段以下という出場資格が設けられており、若手棋士の登竜門でもあります。決勝の相手は、藤井浩貴三段!藤井三段は若手棋士のなかでも序盤の研究に優れ、注目されている棋士の一人です。
実はこちらのタイトル戦も2024年の囲碁業界に大きな話題を呼びました。というのも、タイトル戦では珍しい大逆転が起きた一局だったからです。
三浦新人王に当時の心境をお伺いすると「相手の研究にはまっているかどうかはあまり考えずに、平常心を心がけて打ちました。2局目については、相手のミスは分かったけれど、勝敗はよく分かっていなかったというのが本心です。再度(自分の陣地を)計算してみて、ことの重大さに気づきました。」と語ってくださいました。トップクラスの棋士たちでも分からないことが多いのが囲碁であり、様々なドラマが起きるのも囲碁の面白いところですね!
三浦新人王にインタビューをしているとなんと後ろから「福岡航太朗竜星」
が現れました!驚きを隠せませんでしたが、インタビューをお願いしたところ、快く受けてくださりました。
福岡竜星と言えば「16連勝で初タイトル“竜星”を獲得!」で大きな話題を呼びました。
今期の竜星戦に予選から出場し、本戦ブロック、そして決勝トーナメントに至るまで、レジェンド級の棋士を次々となぎ倒し、最後は棋士界の“魔王”と異名がつく井山裕太王座を完封し、無敗の16連勝で竜星のタイトルを獲得しました。
めちゃくちゃ分かりやすく例えると、漫才頂上決戦の「M-1グランプリ」に地方予選から出場して、そのままグランプリを取ったようなイメージです。「ありえない!」「凄すぎる!」という声で、話題となりました。
当時の心境をお伺いしたところ「決勝に近づくにつれて、優勝したい気持ちが出てきた!」と笑顔でコメント。今年の抱負には、「まずは竜星戦を連覇したい。そして今年で新人王戦が最後になるので、結果を残したい!」と語り、謙虚な姿勢が印象的でした。
三浦新人王と福岡竜星はとっても仲良し。インタビュー中のじゃれ合う姿には、対局姿とはまた違う、少年らしさが垣間見えお二人の無邪気な一面も見ることができました!未来のタイトルホルダーたちに、期待が膨らむインタビューとなりました!ありがとうございました。
碁は自分の好きなスタイルで!
打ち初め式後は、プロ棋士が2人〜3人と同時に打っていくスタイルの「多面打ち」で指導碁を受けることができます。指導碁って少し緊張するかもしれませんが、真剣勝負をされている方もいれば、質問をしながら楽しそうに対局している方もいて、指導碁の楽しみ方は人それぞれでした!
また、指導碁ではなくアドバイスをいただきながら一緒に囲碁の問題を解く姿も見られ、自分の好きなスタイルで指導を受けられるので安心して楽しむことができますね。
2025年!101年目の囲碁業界の行方はいかに?
さて今回は、新年の挨拶、囲碁マンガ発表、記念対局、懇親会、指導碁と盛りだくさんな打ち初め式の様子をお届けいたしました!いかがでしたか?
2024年の囲碁界は、大河に映画に世界戦に、どれをとっても熱く盛り上がり始めた1年でした。この流れに乗って、新連載の囲碁マンガ「伍と碁」、そして若手棋士の目覚ましい活躍で、2025年の囲碁業界はさらに盛り上っていきそうな予感です!
今後の囲碁業界の動きもどんどん発信していきますので、皆さんぜひお楽しみに!
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