ヤングマガジンで1月から連載がスタートしている囲碁漫画『伍と碁(ごとご)』。囲碁シーンが多数出てきていますが、監修を井山裕太王座・碁聖、寺山伶六段が担当されています。
漫画『伍と碁』の単行本第1巻が5月7日(水)に発売!詳しくはこちら。
今回は寺山先生へ監修のお仕事とは?難しいところは?囲碁監修の舞台裏について色々と聞いてみました!
目次
寺山先生のお話 ~野球少年から囲碁棋士へ~
漫画監修のお話 ~監修の仕事って?~
棋士の日常 ~ギャンブラーが多い?!~
まとめ ~今後の注目~

伍と碁©︎蓮尾トウト・仲里はるな/講談社
寺山先生のお話 ~野球少年から囲碁棋士へ~
――まずは寺山先生の人となりを教えてください。囲碁をはじめたきっかけは?
寺山:囲碁は小学校五年生の時に祖父に教わって始めました。その後囲碁教室の存在を知って、子ども囲碁教室に入りました。
教室に入ってからはとにかく囲碁が楽しかった。同年代の友達もいるし、楽しみながら囲碁をやっていました。仲間がいると続けやすいですね。ちょうど「ヒカルの碁」の漫画連載も読んでいて、まわりでも「ヒカルの碁」がきっかけで囲碁をはじめた仲間は多いです。

写真:寺山怜六段
――プロ棋士を目指したきっかけは?
寺山:教室で対局していくうちに「自分は強いのでは」となんとなくの自覚が出てきて、そこからプロ棋士になることを意識しました。小学生のころ野球もやっていましたが、野球はそんなにうまくなかった、けど囲碁は「やったら勝てる」それが楽しかったですし、師匠からのお声がけもあり囲碁の方がまだやっていけるな、と思ってプロ棋士を目指しました。
漫画監修のお話 ~監修の仕事って?~
――「伍と碁」の囲碁監修のお仕事をお願いされたときのお気持ちは?
寺山:不安もありましたが、嬉しかったです。囲碁って触れない人は一生触れないじゃないですか。漫画になれば、それを通して囲碁を見ていただく、知っていただくチャンスになる。
囲碁界にいる一人として、囲碁が楽しくてやってるけど、この楽しさをなぜみんな知らないんだろう、という歯がゆい気持ちがあります。なので多くの人に知ってもらうきっかけになりえる囲碁を漫画で取り上げてくれて、それに関われるのは嬉しかったです。
――囲碁監修の仕事はどんなことをするの?
寺山:基本は原案や下書き、棋譜などをデータでやり取りをしていて、週一回オンラインなどで打ち合わせをしています。仕事は囲碁が出てくる場面のチェック、棋譜の制作です。ネームを確認して絵になった時に囲碁的に違和感がないかどうか、囲碁用語などをチェックしています。その中には囲碁に関わるセリフや所作の確認もあります。
――漫画で使用される棋譜は古碁(古い棋譜)を参考にされていますか?
寺山:そうですね。使用許諾の確認に時間がかかってしまうので、現在の棋譜を使うことは難しいです。なので古い棋譜(古碁)を使用することが多いです。週刊連載の漫画ですので、時間に関してはシビアですね。

写真:古棋書が棋譜作成の参考資料
――監修の難しいところ、面白いところは?
寺山:正解がないところが難しいです。囲碁の場面を多忙な井山先生とともに任されているので、これでよかったのかな、と自問自答しています。漫画に出てくる棋譜の制作には一週間くらいかかることもあります。この形で大丈夫か、と棋士仲間に聞いたり、相談したりもします。絵にしたときの画角によって、提供した棋譜の全部が全部採用されるわけではありません。
面白いところは連載マンガ制作の場を見て、知れるのが面白い貴重な機会です。面白いものを創る現場を支えていきたいなと思っています。面白いものが出来上がっていく中に囲碁の要素としてしっかりサポートしていくのが大事だと思います。
棋士の日常 ~ギャンブラーが多い?!~

――一週間のうちの仕事の振り分けは?ずっと対局してるの?
寺山:「伍と碁」の監修の仕事のほかに、解説や観戦記の仕事もあります。 人によりますが、棋士はそんなに忙しくない職業だと思っています。特に若いころはおおよそ週一回ほどの手合いだけ、なんてころもありました。その時は週3~4回は研究会に入って対局をやったり詰碁を解いたりしていました。今はAIがあるので一人で黙々と研究している棋士も多いです。自分の時間をどう使うか、が棋士の永遠の課題です。
――棋士って勝負師なのでギャンブラー的な人も多い?
寺山:世代で違いますね。今の若い棋士はまじめな子が多いです。
私はちょうど上と下の世代の中間層なので、対局や研究会参加だけでなく、同世代と遊んだり、お酒を飲んだりもしています。ただ上の世代の先生の破天荒なエピソードなど聞くと、だいぶ違うな(笑)と思います。
まとめ ~今後の注目~
――「伍と碁」の今後の注目ポイントは?
寺山:ますます面白くなってきます。勝負だけじゃないところも出てくるので楽しんでもらえたらな、と思います。
囲碁監修としては、キャラクターにあった棋譜を創りたいと思っています。荒々しい、相手を倒しに行く棋風、序盤はなにもしないで最後ちょっとだけ勝つ棋風、などキャラクターの特徴や性格を現した棋譜などを創っていきたいです。盤上に興味がある人はそこにも注目してほしいです。
――最後に一言
寺山:囲碁の良さは世代、性別を飛び越えた楽しみができることだと思います。「イゴセカ!」のタイトルの通り、私は囲碁を通して自分の中の視野の広がりや世界の広がりを感じています。それは囲碁をやってみるとわかると思います。普通ではない世界が広がってますよ。
寺山先生、貴重なお話ありがとうございました!
「伍と碁」の続きが楽しみですね。
そして「伍と碁」の第一巻単行本は5月7日(木)発売です!
「伍と碁」を読んで囲碁をやってみたいな、という方は初心者向けアプリ「囲碁であそぼ」もございます。ぜひダウンロードして遊んでみてください!
■普通ではない囲碁の世界を知りたい方へ
【囲碁を覚えられる無料のアプリ!】
囲碁を楽しく覚えられる、新感覚学習ゲーム「囲碁であそぼ!」 | 囲碁学習・普及活動 | 囲碁の日本棋院 (nihonkiin.or.jp)

【日本棋院公式YouTube】動画でわかる囲碁入門(9路盤編)
【ブラウザでコンピューターと対戦できるサイト】
COSUMI https://www.cosumi.net/play.html
【囲碁のルール気になった人は、こちらの記事も!】
とってもシンプルな囲碁のルールの話その①
【21年ぶりの週刊連載囲碁マンガ!】
「伍と碁」連載スタート!