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【AIと囲碁】未来を変えた日本の伝統競技

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最近、ChatGPTや、様々なAI技術が話題になっていますね。
スマートフォンのアシスタントから、オンラインショッピングのレコメンデーション、さらには自動運転車の技術まで、私たちの日常生活の中でAIはどんどんとその存在感を増しています。
このAIの発展には、意外にも古くからの日本の伝統競技「囲碁」が綿密な関係にあったのをご存知でしょうか?

実は、AIが「囲碁」で棋士に勝利することにより、その進化の証明となった歴史的な背景があるのです。過去には「チェス」や「将棋」がAIの性能を証明する試金石となり、そして、最終的な挑戦を受けた人類の「最後の砦」が「囲碁」だったのです。

囲碁AIが人間に勝利

囲碁は、黒と白の石を交互に盤上に置き、相手の石を取ることや領域を広げることを目的とするゲーム。シンプルなルールながら、19マス×19マスの碁盤の広さがあり、チェスや将棋に比べ複雑性が高く、人間の直感や経験が大きく影響するため、長らくAIが人間のトップ棋士に勝つことは不可能とされていました。
「囲碁」という複雑なゲームで、AIが勝つことが出来れば、成果を示すことが出来る。
それがAIの進化の証明であり、挑戦でした。
今でこそ、AIの性能について一定以上の信頼をもっている私たちですが、当時は、今では考えられないくらいAIの性能について懐疑的な姿勢があったのです。

そんな中、2016年に歴史的な事件が起こりました。
GoogleのDeepMindが開発したAI「AlphaGo」が、囲碁の世界チャンピオン、イ・セドル選手に4勝1敗という結果で勝利したのです!
世界中が、その技術的進歩に驚きの声をあげました。
「囲碁」でAIが人間に勝利する。この結果は、単なるゲームの勝敗以上の意味を持っていたのです。「最後の砦」の陥落に、当時は驚愕や賞賛、そして、ある種の儚さや寂しさの声も。

「ディープラーニング」とは

この「AlphaGo」は従来のプログラムの方法とは異なり、「ディープラーニング」という技術を用いて、AI自らが学習し、人間の直感や戦略を超える動きを見せたのです。
この「ディープラーニング」という技術が、AIの発展のポイントです。

ここでディープラーニングの仕組みについて見ていきましょう。
ディープラーニングを簡単に言うと、コンピュータに大量の情報を学習させて、それを使って新しいことを考えさせる技術のことを指します。この名前の「ディープ」という言葉は「深い」という意味があります。なぜ深いのかというと、学習の仕方が「層」をたくさん重ねているからです。

そして、ここでの「層」とは、情報を処理するための段階やステップのことを指します。ディープラーニングでは、たくさんの層を使って情報を少しずつ処理していきます。例えば、猫の絵をコンピュータに見せると、最初の層では「これは何かの動物だ」と認識します。次の層では「これは4本足の動物だ」と認識し、さらに次の層では「これは猫だ」と認識するように、段階を踏んで情報を理解していきます。ディープラーニングは、大量の情報を学習することで、コンピュータが自分で考えるようになる技術です。人間が学校で勉強して賢くなるのと同じように、コンピュータもたくさんの情報を学ぶことで賢くなるのです。

AIが囲碁を学ぶ

「層」というと難しいですが、「囲碁」で説明すると、対局を何万局、何十万局と重ねるということです。人間が1日に10局打ったとしても、年間に3650局、50年でも2万局に届きません。AIは、その「ディープラーニング」によって、何十万局もの対局を重ね、自己学習をしていきます。
その結果、人間を超える実力を手に入れました。
現実的には不可能かもしれませんが、人間も何十万局も対局をすることが出来れば、AI以上の棋力を手に入れられるかもしれませんね。

このディープラーニングにより生み出されたAlphaGoの成功は、AI技術の可能性を一気に広げるきっかけとなりました。
囲碁のような複雑なゲームを制覇することができれば、他の多くの分野でもAIが活躍できるのではないかとの期待が高まったのです。
実際、その後のAIの発展は目覚ましく、医療、金融、エンターテインメントなど、さまざまな分野での応用が進められています。

囲碁とAIの関係は、単にゲームの中での対決だけではありません。
囲碁は、その複雑さと戦略性から、AIの学習や研究のための絶好の素材となっています。AIが囲碁を学ぶことで、人間の直感や思考のプロセスを模倣し、さらにそれを超える能力を身につけることができたのです。

囲碁AIに人間が勝利

最後に、2023年、逆に囲碁AIに人間が勝利したという驚愕の事件を紹介します。

これまで、囲碁AIはその高度な学習能力と計算速度で、人間のトッププレイヤーを圧倒してきました。特に、KataGoはAlphaGoに匹敵するレベルの囲碁AIとして知られ、その強さは折り紙付きでした。しかし、アメリカのアマチュア有段者ケリン・ペリン氏が、これまで知られていなかったKataGoの欠陥を見抜き、15回の対戦で14勝するという快挙を成し遂げました。ペリン氏は、AIの予測する範囲外の独自の戦術を駆使し、KataGoを翻弄したのです。

この事件は、完璧に思えるAIにも欠陥が存在し、予測不能な動きを起こす可能性があることを示唆しています。
AIは大量のデータと過去の対局から学習していますが、それには限界があることがこの事件から明らかになりました。ペリン氏の独自の戦術は、AIが学習したデータベースには存在しないもので、そのためKataGoは適切な反応を示せなかったのでは無いかと言われています。また、この欠陥は自動運転や自動金融取引のような安全が重要視されるAIで起きた場合、悲惨な結果をもたらします。この事件は、今後のAIの研究や開発において、その欠陥を補完するための新しいアプローチが必要なことを示しているでしょう。

今、私たちの周りで進行中のAIの進化。その背後には、黒と白の石が交互に置かれるシンプルなゲームが綿密に関わっているのです。囲碁とAI、この意外な関係性を知ることで、私たちの未来に対する期待や興奮がさらに高まるのではないでしょうか。

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